1/2

楽譜「峡谷~2台のピアノのために」

¥3,500 税込

この商品は送料無料です。

2022年作品
楽器編成:2 Pianos
出版社:Donemus

※ 楽譜のデジタルデータ版(pdf ファイル,14.40ユーロ)は,Donemus Webshopに直接ご注文ください。
※ You can buy the score (pdf version, EUR 14.40) at the Donemus Webshop.
https://webshop.donemus.com/action/front/sheetmusic/22329

音源は,SpotifyとApple Musicで配信されています。
演奏:加島裕子,北林聖子

The recording is available on Spotify and Apple Music.
Piano: Yuko Kashima, Seiko Kitabayashi

Spotify
https://open.spotify.com/album/23Tyj5Rkuqo7NjwEJ3kbsu

Apple Music
https://music.apple.com/album/1672323625


作品解説―おとなのために―
 たとえば,少し広めのテーブルの上にいくつかのものを「美しく」置こうとする行為を考える。何を,どこに,いくつ,どの向きで・・・置き方の可能性は無数にある。もちろん正解はない。しかし,この行為にはある種の美的価値判断がはたらいている。
 本作には,装飾音を伴う旋律,短く奏される和音,数少ない音から成る短い音型,オクターヴの高音,等々,異なった性格をもった音楽的要素が含まれている―ここではこれらをまとめて「素材」と呼ぶことにしよう。これら素材を,空間と時間にいかに置くか,それが本作における創作上の関心であった。
 このとき重視したのが,ソステヌートペダルの効果である。このペダルは,特定の音のみを伸ばすために用いられるのが一般的だが,本作では,特定の弦から残響を生じさせるためにも用いている。曲のはじめから終わりまで,残響は素材と素材とのあいだにたゆたい,よく似た音楽をそれぞれに奏でる2台のピアノのあいだに漂う。
 扇情的な音楽ではない。描写的な音楽ではない。題名にも特に意味はない。だが,場合によっては,聴き手に何かを思い出させるかもしれない―ごく個人的な何かを。

作品解説―子どものために―
 地味な曲です。とくにもり上がるところはありませんし,大きな音も出てきません。きく人の気持ちをワクワクさせるような曲でもありません。少しずつ変化していきますが,始めから終わりまでふんいきはさほど変わりません。
 そのような音楽をおもしろく感じるためには,どうきけばよいのでしょうか。
 私は,「音楽をよく観察すること」をおすすめします。ふんいきがあまり変わらないということは,ゆっくり観察できるということでもあるのです。
 曲のはじめにきこえてくるのは,ポツポツと奏でられる地味な音です。それらの音はせんりつや和音としてはたらき,音楽に少しの色合いをもたらします。2台のピアノはとてもよく似ていますが,いろいろな点で少し違っています。
 みなさんのなかには,ピアニストが音をひいていないときにも,ピアノがかすかにワーンとひびいているのに気づく人がいるかもしれません。これは,「ソステヌートペダル」と呼ばれるペダルの効果によるものです。ふつう,このペダルは,自分がえらんだ音だけを伸ばすために使うのですが,この曲では,音をひいていないときのかすかなひびきを出すためにも使っています。
 よく観察することで,いろいろと気づくことがあると思います。すると,いっけん地味なこの曲が,おもしろく感じられるようになるでしょう。
 ところで,「この曲を作った人は何を表現したかったのだろう?」「この曲はなぜこのような題名なのだろう?」―そんな疑問をいだいた人もいるかもしれませんが,あまり気にしないでください。それよりも,きこえる音そのものの中にあなたなりのおもしろさを見つけてほしいと思います。それこそが,この曲のもつ「美しさ」ということになるでしょう。


Note of the piece

ravine : for 2 pianos
This piece was premiered by Yuko Kashima and Seiko Kitabayashi in 2022.
Consider the act of placing several things "beautifully" on a slightly wide table.
What, where, how many, in what direction? There are countless possibilities of how to place them. Of course, there is no correct answer. However, this act involves a certain kind of aesthetic value judgment.
This work contains musical elements with different characteristics, such as melodies with ornaments, short harmonies, short phrases of a few notes, high octaves, etc.- I call them 'materials' collectively here. How to place these materials in space and time was my creative concern.
In particular, I focused on the effect of the sostenuto pedal. This pedal is generally used to extend only certain notes, but in this work, it is also used to create reverberation from certain strings. From the beginning to the end, the reverberations hover among the materials and between the two pianos each playing similar music.
This is not emotional music. It is not descriptive music. But in some cases, it may remind the listener of something--something very personal.

商品をアプリでお気に入り
  • 送料・配送方法について

  • お支払い方法について

¥3,500 税込

送料無料

最近チェックした商品
    その他の商品